子供のスポーツ格差とは?収入格差に関係なく幼児期からできる解決策は!?

家庭の収入格差によって子どもの学力に格差が広がっていることはよくニュースで扱われていますが、収入格差によって学力だけでなく運動能力の格差も現れてしまっていることが分かっているそうです。
この「スポーツ格差」は幼児期から現れています。
私たちが子ども達のために、地域のためにできることは何なのか?
この記事では、筑波大体育系教授の清水紀宏さんが提案する解決策をまとめてみましたので、
スポーツ格差を生まないための「子育ての参考」としてお役立ていただければ幸いです。
スポーツ格差とは?
筑波大体育系教授の清水紀宏さんによると、「スポーツ格差」とは・・・
「子どもが生まれ育つ家庭・地域・学校など生活環境の条件が原因となって生じる、
1:スポーツ機会へのアクセス、
2:運動・スポーツ習慣(スポーツライフ)、
3:運動・スポーツ活動への意欲、
4:体力・運動能力水準等、
スポーツ活動によって獲得されるアウトカムにかかわる許容できない不当で不平等な差異。」
と、定義づけされています。
つまり、子どもが育つ環境によって、スポーツへの習慣や意欲・能力などに格差が生じると言うことです。
収入が低い家庭は、地域や学校でのスポーツのに関わる頻度が少なく、運動能力も低いと言うデータが出ています。なんとも恐ろしい結果です。
今は子どもにサッカーをさせたければ、どこかのサッカースクールに入会金を払って入会し、スクール専用のユニフォームをまとめて購入し、毎月一万円近い月謝を払う必要があります。また、サッカースクールによっては送迎だけでなく親の手伝いが必須なところもあり、経済的、時間的な余裕がないとなかなか入会するにもハードルが高いと感じる家庭が少なくないのではないでしょうか?
経済的、時間的に余裕のある家庭は子どもにスポーツを習わせられますが、それが出来ない子供との運動能力での格差(差異)が、問題となっているのです。
二極化は、1990年代から始まっていた
公園でのボール遊びが禁止されるようになってからは、子ども達が近所の公園でサッカーやボール遊びを楽しむ姿が見られなくなくなってしまいました。
他にも広い空き地がない中で、スポーツの商業化や産業化が進み、だんだんとお金や時間に余裕のある家庭の子どもしか地域のクラブに積極的に関われなくなってきたそうです。
筆者が子供の頃は、近所の公園で大きいお兄さん達がサッカーやボール遊びをしていましたが、公園でのボール遊びがすぐに禁止になったのを覚えています。
また、ブランコをこいでいただけなのに、ブランコのきしむ音がうるさいと、
近所のおじさんに「うるさい!!静かにしろ!!」と怒鳴られたのも覚えています。
…子どもの遊び声でも苦情がくる、寂しい時代になってしまいました。
そんな時代背景もあって、金銭的に余裕のある家庭はスポーツを習わせることができ、スポーツの機会を失った子どもとのスポーツ格差が広がってしまいました。
学校生活への満足度にも影響を及ぼす
運動ができる子は、モテました。それは今でも同じで、
「クラスの人気者」の条件の1つが「スポーツが出来る」ことだと、統計で出ています。
また、運動が出来る子は、自信もつきやすいです。
学校生活への満足度も上がります。
ですが、運動が苦手な子は、学校生活の満足度が低く、友人をつくりにくい傾向にある事が統計で明らかになっています。
さらに学力も低い傾向にあります。
学校生活への満足度は、子どもにとっては「人生への満足度」と同じです。
親の経済力の違いで「子どもの人生の満足度」を低くさせてしまっているのでは、これは大変なことです。
親として、大人として、なんとかしてあげなければと感じます。
(「子どもにかわいそうな思いをさせたくない」と思い、これ以上子どもを産む女性が減ってしまうのでは…と思ってしまいますが、これは別問題ですね…。)
家庭の収入が低いと、子どもの学力や運動能力が低い傾向に
家庭の収入が低いと学力も低い傾向にありますが、
学力が低い子どもは体力・運動能力も低い傾向があり、
収入が低い家庭の子どもほど、体力や運動能力が低い傾向にあるそうです。
つまり、
家庭の収入が低い=学力も、体力・運動能力も低い
と言うことになります。
恐ろしいですね。
さらに、学年が上がるにつれてこの格差が拡大していくことも明らかにされています。
このスポーツ格差は、いつから始まるのでしょうか?
スポーツ格差は、なんと幼児期から!
この記事の調査では、幼児期からスポーツ格差が現れることが分かったそうです。
そしてこのスポーツ格差は、小中学校に行ってから挽回しようとしても、かなり難しいそうです。
それって…、かなり厳しい現実ですよね・・。
幼児期にスポーツ習慣をつけることが大切
このことから、幼児期から運動する習慣をつけて格差を生まないようにすることが大切だということが分かります。
スポーツ格差の解決策は!?身近で出来るスポーツ習慣
そのために必要なことは体を動かす事ですが、スポーツと言うと激しい運動を想像してしまいますが、激しい運動でなくてもいいそうです。激しい運動でなくても、スポーツ格差の対策として以下の方法が勧められています。
- ごく当たり前な自然体験をする
- 豊富で多様な生活体験を提供する
- いろんな人といろんな目的や方法でいろんな生活体験を積む
- 親や地域の人たちと一緒に楽しい活動をする体験をする
等、これらの体験を積み重ねることが必要だとしています。
身近な自然体験でも、体には良い効果がある
例えば、季節のレジャーを楽しむのもそうですが、
- 春には新緑や花、冬眠から目覚めた虫たちを探しに行く
- 夏には川や海で思いっきり遊ぶ体験をする
- 秋には紅葉を見に山登りをしたり、植物の葉の色の移り変わりを楽しむ
- 冬には雪遊びやスキーに行ったり、庭やベランダで氷をはって遊んでみたり…
ということを、日常で楽しんで取り組めたら良いですね。
四季の移ろいを楽しむ自然体験
お金を使わなくても、体を動かして自然体験をする方法は他にもあります。
- 周りにある自然を感じに出かけてみたり、
- 四季の移ろいを楽しむために散歩をしてみたり、
- 紅葉を見に行ったり、
- 虫取りをしてみたり…
と言った、日頃忙しいと感じることの出来ない「自由な時間」を楽しみ、その中で「体を動かす喜び」を感じる。
お金をかけなくても、体を動かして楽しむ体験は色々あります。
ポケット図鑑を持って、虫や植物の名前を調べるのでも、体を動かしますし勉強になります。
まずは身近なところから始めてみると、取り組みやすく継続しやすいのではないでしょうか。
子どものスポーツ格差は、地域社会で対処しよう
記事では、「子供のスポーツ格差は、地域社会で対処すべき問題」だとし、学校は「最後のセーフティーネット」だとてしています。
学校に依存して自分は何もしないのではなく、地域の子ども達のために、大人も一緒になって「子供のスポーツ格差問題」を意識して対処することが大切です。
では、地域の大人として何ができるのか?記事では以下の対処方法を勧めています。
地域の大人としてできる対処方法
- 公園などでの子どもの自然な遊びの場をつくってあげること
- 子供同士で教えられるドッジボール、鬼ごっこ、虫とりなどをする環境を作ってあげる
- 仲間づくりのきっかけを作ってあげる
- 「異年齢の集団」や「縦割りの集団」をつくって、お世話してくれるお兄さんお姉さんと繋げてあげる
公園に行って、知らない大人やお兄さんお姉さんにも声をかけられる子もいますが、遠慮したり恥ずかしがる子供も多くいます。
気さくに話しかけられる子供はそっと見守っていても良さそうですが、声をかけられない子には、大人がそばについてあげて、お兄さんお姉さんに声をかけて一緒に遊ぶ機会を作ってあげることが大切です。
きっかけさえあれば、子供も一緒になって楽しむようになるでしょうし、きっかけがなければ何も始まりません。
親が忙しいとなかなか出来ない事ですが、子供のためと思って、是非子どものコミュニティづくりを意識してみてください。
まとめ
日本では、経済格差、教育格差、医療格差、保育格差、マンション格差…など、様々な格差が広がっていると言います。
そんな日本は、幸福を感じる人が世界でワースト1位です。
これは日本人として、とても悲しい現実です。
これからの日本を明るい未来にするためにも、いま産まれてきてくれた子どもたちには幸せに育って欲しいと思います。
そのためにも私たち大人が、今できることを何か1つでもコツコツと行動していきたいと思います。
小さなことでも、何か1つでも…。
そして「大人中心の社会」ではなく、「子どもの未来を考えられる心に余裕のある社会」になって欲しいと切に願います。
参考記事:yahoo!ニュース(記事URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/3127eb93f9b810600bbfbacecf3d6a39a5b50bda?page=1)